「3秒ルールは白旗にも適用されるか?」 幸福だった事実が突き刺さる。 ガラスを割ったのは自分。 足の踏み場も逃げ場もない辺り一面に、 裸足で立ち尽くしたところで状況は変わらないので 蹲って路傍の石のふりをしながら誰かが 掃除に来てくれることを信じている。 足の裏には破片が刺さったままだけど動けばますます踏んでしまうから このままでいいやと諦めた。 そのうち破片は血管をなぞるように這ってきてとうとう 心の臓の辺りまで辿り着いた。 背筋が薄ら寒くてこくりと生唾を飲み込んだらあろう事か 気道までせり上がってきたので 喉元にナイフを突きつけられた気分ではい、降参のポーズ。 おっかなびっくりそうっとそうっと息をしながら燃えないゴミは 何曜日だっけ、と考えていた。 するとスルスルと不自然なスピードで蜘蛛が 降りてきてここには時間はありませんよ、 と一言告げるとそのまま 足下に落ちて破片をそこら中にくっつけて力尽きた。 鼓動も呼吸も問題なく続けているこの体は、ではさて、 どこにいるのだろう。 目を閉じれば、破片なんてどこにもない。 夢だったんだと安堵して倒れ込んだ。