「He wiped!」



ドアに映る影と桃

唾液混じりのノイズ

夕暮れの一歩手前

目と目と目と目と手と手と絆

言葉の意味は正確に

唇はゴムの味

塞いだままで夢を吐く

そこからこぼれた音は

意味のある無意味

時計が刻んでゆく

赤いバロック

門の向こうで「お帰りなさい」

そこかしこにピンクのフリル

落ちた向こう側

夜の中で灯りだけが鈍い

拭き取られた残りすら

溶けてしまえるのに

鏡にはただ見慣れない顔がひとつ