「黄昏症候群」 一日の間に桜はつぼみを広げ 私の涙も乾いた しかしその木がかげって見えるのは 夕暮れのせいだけではないだろう 少し濃さを強くした青を背にして 意外に無骨な幹もまた青い影をつける 見上げた先にちょうど咲いていた二輪の花は 影に溶けるどころか蛍光塗料のように いよいよその姿を晒し始めた 私もあの花たちのようになれたら 一つため息をついて また行くべき道を歩き始める 明日もまた桜はつぼみを広げ 私は涙を流すのだろう 遠い向こうに見えた飛行機雲が 細く青ににじんでいた