「月夜のちいさな物語」 ウサギが遠くで呼んでいる、 私はとっても淋しいの。 だけどあたしは答えるの、 そこには遠くて行けないの。 小さくネズミが呟くの、 行ってあげればいいじゃない。 だけどあたしは答えるの、 遠いとあなたも知ってるくせに。 行けるわけがないでしょう。 嘘だね、ネズミが呟くの、 ほんとはそうしたいのでしょう。 そこへの切符も持ってるのに、 どうして、何をためらうの? うつむき、あたしは黙り込む。 震える声で怖いのと、 小さく小さく呟いた。 遠く離れたあの人の、 気持ちが何も分からない。 ばぁか、とネズミが笑い出す。 確かめもせず何が怖い? 臆病ウサギより怖がりな、 君のままで終わるのか? そんなの、 そんなの嫌だと泣きながら、 子どもの様に繰り返す。 分からないまま終わるのは、 離れているより悲しいと。 だったら早くしないかと、 ネズミの少し強い声。 ずっと遠くで眺めてて、 好きになったと笑ってた。 あの笑顔を見せてやれ。 ありがとう、とだけ笑ったら、 ふん、と顔を赤くした。 それにもくすり、と笑いつつ、 あたしは切符を手に取った。 私はとっても淋しいの。 呼んでるウサギに答えたの。 待ってて、今からそこに行く。 もう少しだけ我慢して。 うん、と言われた気がしたの、 あたしは笑って、